‘山林’

相続で山林を得た時の納税猶予の特例について教えて下さい。

 

特定の森林経営計画が決まっている区域内にある森林を持っていた一定被相続人から遺贈や相続で特例施業対象山林を得た一定相続人が、自分で山林を経営する時は、その林業経営相続人が納めなければならない相続税の中から、特例山林に対する課税価格の8割に当たる相続税の納税猶予がされることとなります。この猶予税額は、林業経営相続人が亡くなった時は、免除されることになります。
また、免除の時、その亡くなった日から当該日以降6カ月が過ぎる日までに、税務署に一定書類を出すことが必要です。
なお、山林納税猶予税額の免除がされる時までは、特例山林に対して山林経営の転用・譲渡・廃止などの一定の事由などが発生した時、その猶予額の一部や全額を利子税と共に納める必要が生じます。

*「特定森林経営計画」:市町村等などから認定を貰った森林法第11条第1項の定めによる森林経営計画で、下記の全ての要件を満足させているもの
(1)対象の山林が同じ人によって一体で整備することが妥当であるとして租税特別措置法施行規則第23条の8の4第6項に定められるものであること
(2)森林経営計画に森林法第11条第3項の定めによる事項が載せられていること
(3)(1)や(2)以外に、森林経営計画の内容が同じ人による山林の効率的な経営の実現を行うために要する租税特別措置法施行規則第23条の8の4第7項の定めによる要件を満足させていること
*「特定山林」:特例施業対象山林の中で「2 納税猶予を受けるための要件(3)」の要件を満足させる山林
*「特例施業対象山林」:被相続人がその被相続人の相続が始まる直前に持っていた山林の中で、相続が始まる前の特定森林経営計画が決まっている区域内にあるものであると同時に、下記の全ての要件を満足させるもの。
(1)特定森林経営計画の載せられている森林の中で作業路網を整備する部分が、同じ人によって効率的な一体の施業をすることが可能であるとして租税特別措置法施行令第40条の7の4第4項の定めによる要件を満足させていること
(2)被相続人によって相続が始まる直前まで継続して特定森林経営計画に基づいて適正・確実に営んでいた森林であること

この特例の適用対象に入るには、下記の要件などを満足させることが必要です。
1.被相続人の要件:下記の(1)~(3)までの全ての要件に当てはまる人であること
(1)特定森林経営計画が決まっている区域内にある森林であって、作業路網を整備する部分の面積の総計が100ヘクタール以上になる森林を持っている人
(2)特定森林経営計画に基づいて当初認定起算日から亡くなる直前まで引き続けてその持っている租税特別措置法施行令第40条の7の4第1項第3号の定めによる山林の経営を確実・適正にしていた人として農林水産大臣から認められた人
(3)下記の3つの事項に対してその亡くなる前に農林水産大臣から確認がされた人
*特定森林計画に基づいて森林経営の規模の拡大をするものと認定されること
*特定森林経営計画の達成を目的として必要な機械とその他の設備の利用が可能であること
*特定森林経営計画が決まっている区域内にある全ての山林に関して、特定森林経営計画に基づいて確実・適正に作業路網の整備や経営をしている人という認定を受けること
2.林業経営相続人の要件:被相続人から遺贈・相続でその被相続人が相続のまる直前に持っていた山林の全てを得た個人で、下記の3つの要件を全て満足させる人であること
(1)相続が始まる直前に、被相続人の推定相続人であること
(2)特定森林計画に従って全ての山林の経営を確実・適正に行う人であるという認定が受けられる要件として租税特別措置法施行令第23条の8の4第8項の定めによる要件を満足させている人
(3)相続が始まる時~申告期限まで継続して遺贈・相続で得た全ての山林を持つと同時に、特定森林計画に基づいて営んでいる人
3.特例森林の要件:林業経営相続人が自分で営むもので、下記の(1)~(3)までの全ての要件に当てはまるもので、この特定を適用するという内容を相続税の期限内申告書に記したものであること
(1)都市計画法第7条第1項の定めによる市街化区域内にある山林ではないこと
(2)特定森林経営計画に、作業路網を整備する山林として載せられている山林であること
(3)立木は、相続が始まる日~対象の立木が森林法第10条の5第1項の定めによる市町村森林整備計画の規定による標準伐期齢に到達する日の期間が林業経営相続人の相続が始まる日の平均余命と30年のどちらか短い期間を超過する時の立木であること

この納税猶予を適用するためには、相続税の申告書の期間内提出とともに、山林納税猶予税額と利子税の額数に見合う担保の提供が必要です。
また、租税特別措置法第69条の5第1項の定めによる特定計画山林の特例が適用される場合は、この納税猶予の適用は不可能となります。

この特例を適用している林業経営相続人は、山林納税猶予税の額数の免除・納税猶予の税額の全ての額数に対して納税の猶予が打ち切りとなるまでの期間内に、施業整備期間にあっては当初の認定起算日から1年度に、施業整備期間の最後の日の次の日から猶予中相続税額に当たる相続税の全額につき納税猶予に対する期限が決まるまでの期間にあってはその最後の日の次の日から3年が過ぎるたびに、継続してこの特例を適用するという内容・特例山林経営に関わる事項を載せた届出書を提出することが必要です。
また、継続の届出書の提出がされていない時は、この特例は打ち切ることとなり、山林納税猶予の税額とその利子税を納める必要が生じます。

もし、後継者が亡くなった時は、その亡くなった日から6カ月が過ぎる日までに、免除の届出書を出すことで、その亡くなった時に納税猶予の税額の全額について納税の免除がされます。

納税猶予税額の納付がされる場合は、下記のようになります。
1.山林猶予の税額を納めなければならない時:主に下のケースに当てはまるようになった場合は、その山林納税猶予の税額の一部や全額を納める必要が生じます。
(1)継続届出書を提出していなかった
(2)特例山林に関する山林を営まなくなった
(3)この特例の適用を取りやめるという内容を記した届出書を出した
(4)所得税法第32条第1項の定めによる山林所得に関する収入額数が0になった
(5)特定山林経営計画が決まっている区域内にある山林について造林・伐採・作業路網の整備のどちらもされていない年があった
(6)特例山林に対して、路網未整備(作業路網の一部の整備が適切にされていない時や一体的で効率的な経営に的確でなくなった山林になった時として租税特別措置法施行令第40条の7の4第12項の定めによる時)や譲渡(贈与、譲渡、転用以外にも、永小作権、使用貸借、地上権による権利や賃借権を定めること)などがあった
(7)森林経営計画の認定を引き続けて受けることが不可能となった、または取り消された
ex)*山林経営の一部・全部を他人に委託したケース
*「作業路網の整備に関わる一定水準」や「山林経営の規模拡大に関する目標」の達成が出来なかったケース
*他の山林の所有者から経営の委託の申出を拒否したケース
2.納める税額に対する利子税
しかし、それぞれの年の特例基準割合が7.3パーセント未満である時は、下記のようになります。

0.036×特例基準割合/0.073*0.1パーセントに満たない端数は切りすてます。

*特例基準割合
1.2013年12月31日まで:それぞれの前の年の11月30日の時点で日本銀行から定められる基準割引率に4%を足した割合
2.2014年1月1日から:それぞれの前々年の10月~前年の9月までのそれぞれの月の時点の銀行の新規短期貸出約定平均金利の総計を12に割って得た割合として、財務大臣からそれぞれの年の前の年の12月15日までに告示される割合に、年1パーセントの割合を足した割合

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